不動産を流通させる価格(確実に売買が成立する価格)は「いくら?」

 
不動産はその名の通り、動かす必要の無い(動かせない)動産(資産)です。自分の持っている不動産は「今いくらの価値があるのか?」を知っておくことは重要です。しかし、所有しているときの価値と売却しようとしたときの価値(価格)は同じではありません。
所有しているときの価値(価格)は、国が決めてくれます。一物四価と言われる公示地価、基準値標準価格、固定資産評価額、相続税路線価と言われるものです(これの詳細については別の機会に)。しかし、不動産を売りたい!となると、その四価はあまり参考になりません。
 
四価≠売却価格
 
これが、一般の人に価格が「わかりにくいもの」になっている原因の1つです。30年間この仕事を続けてきて、今でもそう思います。
 
 その理由を考えてみました。
 
 
・取引事例主義が相場を作る
 
不動産は全てが個別である(世の中に2つ存在しない)ため、近隣などで条件が類似した不動産の「過去の取引」と「現在売りに出ている価格」が「取引しやすい価格の根拠」として影響を持ちます。「事例が価格の根拠になる」ということは、自分の不動産の価格が、他の事例によって随時変動してくるということです。つまり、自分と直接関係のない(売り手、買い手)の事情により、高く売れた事例や、安く売ってしまった事例に強く影響を受けやすいのです。
 
・不動産の取引情報は非公開
 
不動産売却情報や取引事例のデーターベースは、不動産業の資格を持った業者さん、その従業員さんしか原則閲覧できません。この情報公開が限定的である以上、誰でもフェアに判断できるような仕組みは存在していません。例えば株価や為替取引のように、取引出来る価格がオープンに開示されており、誰でも平等にその時、その価格で売買ができるといったフェアな市場ではありません。
 
・値付けは誰が、どうやって決める?
 
売り手と買い手が存在する市場には、価格が折り合う相場価格が必ず生まれますが、その情報が非公開なら「相場情報を知っている人」から聞く以外にありません。不動産価格に値付けをするときには、事例等による相場情報が値付けの基準になってますので、この相場情報を持っている人の経験力、情報収集力が重要になってくると同時に、所有者よりも業者側に値付けの優位性が生まれてしまう、ということが起きてしまいます。
 
AIの時代になり、多くの事が効率的になってきましたが、肝心の相場価格を知るにはまだまだ 「人の力に頼る業界」というのが私の実感であり、このあたりが一般の方にとって、不動産をわかりづらくさせているのだと思います。
 
【あとがき】
昨日は月に1度の競技会。最近調子が上向きだったので意気込んだ結果は→ボロボロ。
ゴルフもメンタルスポーツ。全米オープンで優勝した大坂なおみ選手。3本のエースを決めても1本のミスショットに拘っていた時は勝てなかった。試合全体の流れを考えるようにし、我慢を覚えて強くなったとのコメント。とっても参考になりました。来月の競技会に向けてメンタル強化!